« ALPHA 「アルファ」 / ASIA (1983) | トップページ | NEWS OF THE WORLD 「世界に捧ぐ」 / QUEEN (1977) »

2010年9月 2日

TIN DRUM 「錻力の太鼓」 / JAPAN (1981)

Album Cover (front): Tin Drum / Japan本国イギリスでは派手なビジュアルイメージの所為か、かつてのクイーンがそうであったように、正当な評価を受けられず、奇をてらっただけの素人バンドなどとメディアやプレスに酷評され続けていたようですが、そんな彼らの5作目となるのがこの"Tin Drum"(錻力の太鼓)です。このアルバムはそれまで批判的であったメディアやプレスからも絶賛され、彼らの評価は一気に高まる訳ですが、しかし、そんな世間の評価や成功とは裏腹に、このアルバムを最後にバンドは解散してしまいました。

当時はポップスでもなければロックでもないこの不思議なアルバムを前作や前々作ほど好きになれなくて、何故それほどまでに評価されるのかも分かりませんでしたが、大人になるにしたがって徐々にこのアルバムの魅力に気付いていった感じでしたね。ここで見られるアーティスティックな世界観はモダンアートと呼んでも違和感のないものです。とは今だから言える言葉でもあります。

 

Album Cover (back): Tin Drum / Japanアルバムジャケットや、"Visions of China"、"Canton"、"Catonese Boy"、"Sons of Pioneers"といった曲だけに留まらず、中国をテーマに生み出されたと思われる独特なビート感がアルバム全体を通して漂っており、この不思議な美意識で表現された世界感に嵌まってしまうと、けっこう病み付きになります。一応、念のため言っておきますが、これは日本という名の英国のバンドが中国をテーマに制作したアルバムなので、勿論、彼らが日本と中国を混同して見ているという訳ではありません。

ただ、中国をテーマにしているとはいえ、それは親しみや憧れといった対象ではなく、どちらかといえば皮肉的に捉えている印象です。過去にはファーストアルバムにおいて"Communist China"という曲が収録されていたり、まだ東西に分かれていた時代のベルリンや、旧英国植民地のローデシアといった地域をテーマに書かれた曲があったりと、以前から問題を抱えた地域を題材にした曲の中では、割とシリアスな部分が歌詞に込められていることが多かったですからね。それにしても独自のスタイルを確立した感もあるミックとスティーヴによるリズム隊はこのアルバムの核と言えるほどに強力で素晴らしいですね。実際、ベースとドラムの音に耳を傾けるだけども、けっこう楽しめます。アルバムは英12位を記録。

 

Japanese 7-inch Single Record: The Art of Parties / Japan"Japan"史上最もコマーシャル性の低いこのアルバムの中にあって、日本で唯一発売されたシングル盤が右の"The Art of Parties"。ひいき目に見ても売れるような曲では無いので、特にヒットすることもありませんでしたが、今でも良く聴く曲のひとつです。例によって、シュールな抽象芸術を思わせるような歌詞の意味は未だに理解できませんが、何故か聴くたびにマティスの「ダンス II」が頭をよぎります。ただ、当時は別にこの曲が好きというわけでもなく、どちらかといえば風変わりで奇妙な曲といった印象しかなかったように思います。何故にアルバムとは別にシングル盤まで買っていたのか今考えてもちょっと不思議。

日本ではデビュー当時のブームも影を潜め、シングルも然ることながら、アルバム自体もあまり話題になることも無かったのですが、逆にデビュー当時は全く注目されなかった本国イギリスに於いては過去最高の売り上げを記録し、The Art of Parties (48位)、 Visions of China (32位)、 Ghosts (5位)、 Catonese Boy (24位)と、4曲もがシングルカットされた辺りは、イギリス・マーケットというか、イギリス人気質みたいなものが感じられて面白いですね。たとえポップスやロックといった音楽であっても、クリエイティヴ且つアーティスティックな要素が求められるような土壌がイギリスにはあるようで、そういった点では依然としてプロダクション主導のアイドルが幅を利かせる日本よりはマーケットが成熟している印象も無きにしも非ずといったところ。

 

Japanese 7-inch Single Record Label: The Art of Parties (A-side) / Japan   Japanese 7-inch Single Record Label: The Art of Parties (B-side) / Japan

 

JAPAN - BAND MEMBERS (Listed on Back Cover)
• David Sylvian (デヴィッド・シルヴィアン) - Keyboards, Keyboard Programming, Tapes, Guitar, Vocals
• Steve Jansen (スティーヴ・ジャンセン) - Drums, Percussion, Electronic and Keyboard Percussion
• Richard Barbieri (リチャード・バルビエリ) - Keyboards, Keyboard Programming, Tapes
• Mick Karn (ミック・カーン) - Fretless Bass, African Flute, Dida

 

TRACK LIST
1. The Art Of Parties / 2. Talking Drum / 3. Ghosts / 4. Canton / 5. Still Life In Mobile Homes / 6. Visions of China / 7. Sons Of Pioneers / 8. Cantonese Boy

1. ジ・アート・オブ・パーティーズ / 2. トーキング・ドラム / 3. ゴウズツ / 4. カントン / 5. スティル・ライフ・イン・モービル・ホームズ / 6. ヴィジョンズ・オブ・チャイナ / 7. サンズ・オブ・パイオニアーズ / 8. カントニーズ・ボーイ

NOTES
• CD発売日:1999年06月30日(再発盤)
• 解説・歌詞・対訳付

 

▼ Japan - Visions of China

https://www.youtube.com/watch?v=5PA1PUpC1Ts

 

▼ Japan - Still Life in Mobile Homes
https://www.youtube.com/watch?v=WxGpxt9XpN0

▼ Japan -The Art of Parties
https://www.youtube.com/watch?v=aEuB_rfuM7Q

 

 

関連記事

Adolescent Sex 「果てしなき反抗」 (1978) / Japan

JAPAN - 果てしなき反抗 & 苦悩の旋律 / 雑誌広告 (1979)

ミュージック・ライフ 5月号臨時増刊 JAPANイン日本 (1979)

Quiet Life 「クワイエット・ライフ」 (1979) / Japan

Gentlemen Take Polaroids 「孤独な影」 (1980) / Japan

The Singles 「ザ・シングルズ」 [限定レコード盤] (1981) / Japan

Assemblage 「アセンブラージュ」 [2CD] (1995) / Japan

The Singles 「シングルズ」 [2CD] (1996) / Japan

Zero Landmine (2001) / N.M.L. (No More Landmine) - featuring David Sylvian & Steve Jansen

WORLD CITIZEN - i won't be disappointed (2003) / Ryuichi Sakamoto + David Silvian

The Very Best Of [DVD] (2006) / Japan

さよなら、ミック・カーン (2011)

Japan & Self Existence - ミック・カーン自伝 [日本語版] / Mick Karn (2011)

JAPAN 1974-1984 ~ 光と影のバンド全史 (2017)

« ALPHA 「アルファ」 / ASIA (1983) | トップページ | NEWS OF THE WORLD 「世界に捧ぐ」 / QUEEN (1977) »

音楽 (全てのカテゴリー)」カテゴリの記事

音楽 (JAPAN)」カテゴリの記事

音楽 (アナログ・レコード:シングル)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« ALPHA 「アルファ」 / ASIA (1983) | トップページ | NEWS OF THE WORLD 「世界に捧ぐ」 / QUEEN (1977) »

TRANSLATE THIS SITE

ブログ内を画像で検索

2020年11月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          

カテゴリー

人気記事ランキング履歴

プライバシーポリシー

無料ブログはココログ