ZERO LANDMINE / N.M.L. [NO MORE LANDMINE] (2001)
これは坂本龍一の呼びかけで結成されたユニット、「N.M.L. (No More Landmine)」のマキシシングル「Zero Landmine」。 ただ、マキシシングルとは言っても、トータルの収録時間は44分少々と、通常のアルバムと言っても差し支えない程のヴォリュームで、付属のブックレットも充実した内容。ちなみにパッケージはデジパック仕様です。
元々は民放テレビ局の開局50周年に合わせて企画された「地雷 ZERO キャンペーン」の一環として、趣旨に賛同した坂本龍一がこの曲を手掛けたわけですが、その坂本氏の呼びかけにより、趣旨に共感した国内外のミュージシャンが集結し、結成したユニットがこの「N.M.L. (No More Landmine)」というわけです。
残念ながら現在は廃盤扱いされているようですが、CDの売上金は全て地雷撤去などの資金として使われたとのこと。
歌詞を手掛けたのは坂本龍一の長年の友人である元ジャパンのデヴィッド・シルヴィアンで、実を言うと私が興味を持ったのもデヴィッド・シルヴィアンの参加があったからでした。なお、このプロジェクトには、デヴィッドの弟である元ジャパンのスティーヴ・ジャンセンもドラムスで参加しています。
勿論、歌詞は全編英語ですが、デヴィッド・シルヴィアンに歌詞の制作を依頼した際は、「子供でも歌える、シンプルで優しい詞を書いてくれと頼んだ」と、坂本龍一自身が付属のブックレットの中で語っています。又、出来上がった歌詞を見て、「普段の難解なデヴィッドの仕事からは想像もできないシンプルで優しい詞だった。彼の暖かい心にも感動した」とも。そして、その歌詞を作家の村上龍に送り、日本語に訳してもらったとのこと。そう、この歌詞は村上龍によって翻訳された「地雷のない世界」というタイトルの日本語詞も作られているのです。
メインの「Zero Landmine」は、地雷が埋設されている地域の民族音楽を織り交ぜながら展開される18分を超える大作ですが、CDには、そのショート・ヴァージョンやインストゥルメンタル・ヴァージョンなど全6曲が収録されています。メインの「Zero Landmine」でも、一部でデヴィッド・シルヴィアンがヴォーカルを担当していましたが、ジャパンのファンである私にとっては、坂本龍一のピアノに乗せて全編をデヴィッド・シルヴィアンがヴォーカルをとる2曲目の「piano + vocal version」も感動的なメインの楽曲に負けず劣らず気に入っています。
ちなみに、タイトルにある「Landmine」とは地雷のことで、ジャケットの表と裏に使われているのも地雷の写真です。残酷なのは、写真を見ても分かるように、子供たちが興味を示すような形や色をしていること。考えただけでもゾッとしますが、仮に自分が子供だとしたら、こんなものが地面にあったら、間違いなく手を触れてしまうでしょう・・・。なお、ブックレットには今も地雷を生産している国と地雷の問題がある国を表した世界地図が記載されています。
主な参加ミュージシャン
■ 日本
UA / 大貫妙子 / TERU、TAKURO (Glay) / 坂本龍一 / 桜井和寿 (Mr.Children) / 佐野元春 / SUGIZO (元 Luna Sea) / 高橋幸宏 / CHARA / DJ KRUSH / 吉田美和、中村正人、西川隆宏 (Dreams Come True) / 細野晴臣 / 山塚アイ (Boredoms) / 湯川潮音 (当時 東京少年少女合唱隊) / 藤原真理
■ 海外
アート・リンゼイ / クラフトワーク (「Zero Landmine」のサウンドロゴ) / デヴィッド・シルヴィアン、スティーヴ・ジャンセン (元 Japan) / シンディ・ローパー / ブライアン・イーノ / ヤドランカ / キム・ドクス
▼ ブックレットにも記載されている坂本龍一のコメント。
Zero Landmine
http://www.sitesakamoto.com/update/zerolandmine-j.html
TRACK LIST
1. Zero Landmine
2. Zero Landmine (piano + vocal version) / Ryuichi Sakamoto & David Sylvian
3. Zero Landmine (piano + cello version) / Ryuichi Sakamoto & Mari Fujiwara
4. Zero Landmine (short version)
5. Zero Landmine (piano version) / Ryuichi Sakamoto
6. Zero Landmine (the track)
NOTES
• Maxi Single
• デジパック仕様
• 解説・歌詞・対訳付
• オリコン・シングルチャート (1位)
• さだまさしの「親父の一番長い日」(12分30秒)を抜いて、1位を記録した曲の中ではこれまでで最も演奏時間が長い曲となった。
▼ こちらは、ショート・ヴァージョンのビデオクリップ(約5分) 。
No More Landmine (Ryuichi Sakamoto) - Zero Landmine [Short Version]
http://www.youtube.com/watch?v=g0QK-IV_v3I
▼ そしてこちらが、民放テレビの「地雷 ZERO キャンペーン」の特番の最後に演奏された「Zero Landmine」のフル・ライヴ・ヴァージョン(約20分)。勿論、フル・ヴァージョンがライヴで演奏されたのは後にも先にもこの一回限り。
No More Landmine (Ryuichi Sakamoto) - Zero Landmine [Full Length Version]
https://www.youtube.com/watch?v=iCgSll8mEO8
関連記事
その他の関連記事
▶ Murdered By The Music 「音楽殺人」 (1980) / Yukihiro Takahashi 「高橋ユキヒロ」
▶ Snakeman Show 「スネークマン・ショー」 (1981)
▶ Sealed 「シールド」 (1984) / Y.M.O.
▶ WORLD CITIZEN - i won't be disappointed (2003) / Ryuichi Sakamoto + David Silvian
« 2013年1月~8月のプレイカウント・トップ40 | トップページ | GREATEST HITS 「カーズ・グレイテスト・ヒッツ」 / THE CARS (1985) »
「音楽 (全てのカテゴリー)」カテゴリの記事
- HAMMERSMITH LIVE '83 「ハマースミス・ライヴ '83」 [VHS] / THE MICHAEL SCHENKER GROUP (1984)(2021.04.03)
- LIVE IN COLOMBIA 「ライヴ・イン・コロンビア」 [2CD] / THE ALAN PARSONS SYMPHONIC PROJECT (2016)(2021.03.03)
- 日本でも良く知られる懐かしの海外の曲 (PART 9/10)(2021.03.24)
- LA BOUM & LA BOUM 2 ~ 日本盤シングル3枚「愛のファンタジー / 永遠のファンタジー / 恋する瞳」 (1980 / 1982)(2021.02.12)
「音楽 (K) (L) (M) (N) (O)」カテゴリの記事
- HIROKO NAKAMURA PLAYS CHOPIN FAVORITES 「“幻想即興曲” 中村紘子ショパン名曲集」 / HIROKO NAKAMURA (1984)(2020.08.05)
- THE SINGLES 「ザ・シングルス」 [3CD] (初回生産限定仕様) / CHISATO MORITAKA 「森高千里」 (2012)(2020.02.07)
- ESSENTIAL / KIM CARNES (2011)(2019.10.25)
- IMMIGRANT SONG 「移民の歌」 / LED ZEPPELIN (1970)(2018.07.09)
- KAMA-SUTRA 「カーマ・スートラ」 / MICHEL POLNAREFF (1990)(2018.05.04)
「音楽 (JAPAN)」カテゴリの記事
- WORLD CITIZEN - I WON'T BE DISAPPOINTED / RYUICHI SAKAMOTO + DAVID SILVIAN (2003)(2018.03.15)
- JAPAN 1974-1984 ~ 光と影のバンド全史 (2017)(2017.08.04)
- JAPAN - 果てしなき反抗 & 苦悩の旋律 / 雑誌広告 (1979)(2014.06.26)
- THE SINGLES 「ザ・シングルズ」 [限定レコード盤] / JAPAN (1981)(2010.11.03)
- ZERO LANDMINE / N.M.L. [NO MORE LANDMINE] (2001)(2013.09.06)
「音楽 (その他)」カテゴリの記事
- LA BOUM & LA BOUM 2 ~ 日本盤シングル3枚「愛のファンタジー / 永遠のファンタジー / 恋する瞳」 (1980 / 1982)(2021.02.12)
- 日本でも良く知られる懐かしの海外の曲 (PART 5/10)(2020.10.25)
- 日本でも良く知られる懐かしの海外の曲 (PART 4/10)(2020.10.11)
- オリビア・ニュートン・ジョンのカヴァーでも知られる2曲のカントリー・ミュージックのカヴァー(2020.09.04)
- PACHELBEL'S CANON - ON PARADE 「パッヘルベルのカノン - オン・パレード」 / VARIOUS ARTISTS (1998)(2020.09.24)
「音楽 (邦楽 / Japanese Musicians)」カテゴリの記事
- FANTASY 「ファンタジー +10」 / HIROMI IWASAKI 「岩崎宏美」 (1976 / 2018)(2020.11.21)
- HIROKO NAKAMURA PLAYS CHOPIN FAVORITES 「“幻想即興曲” 中村紘子ショパン名曲集」 / HIROKO NAKAMURA (1984)(2020.08.05)
- THE SINGLES 「ザ・シングルス」 [3CD] (初回生産限定仕様) / CHISATO MORITAKA 「森高千里」 (2012)(2020.02.07)
- 飛鳥(品川盤) [CD+DVD] / RIN' (2004)(2019.10.11)
- SEALED 「シールド」 / Y.M.O. (1984)(2019.06.23)
「音楽 (Y.M.O.)」カテゴリの記事
- SEALED 「シールド」 / Y.M.O. (1984)(2019.06.23)
- SNAKEMAN SHOW 「スネークマン・ショー」 (1981)(2019.06.15)
- WORLD CITIZEN - I WON'T BE DISAPPOINTED / RYUICHI SAKAMOTO + DAVID SILVIAN (2003)(2018.03.15)
- MURDERED BY THE MUSIC 「音楽殺人」 / YUKIHIRO TAKAHASHI 「高橋ユキヒロ」 (1980)(2016.02.19)
- ZERO LANDMINE / N.M.L. [NO MORE LANDMINE] (2001)(2013.09.06)
« 2013年1月~8月のプレイカウント・トップ40 | トップページ | GREATEST HITS 「カーズ・グレイテスト・ヒッツ」 / THE CARS (1985) »
コメント