STEREOTOMY 「ステレオトミー」 / THE ALAN PARSONS PROJECT (1985)
この「Stereotomy / ステレオトミー」は、前作"Vulture Culture"でのポップ路線から一転、ロック色が増した作品となりました。今でこそ、このアルバムならではの魅力を以前よりは感じることができるようになったものの、LPレコードで買った当時は全く好きになれず、最初に数回聴いた後は殆ど聴く事もなかったんですよね。
まぁ、前作とは大きくサウンドが変わったことも一因としてあるのかもしれませんが、それでも、大半のLPレコードは処分した中で、こうして数少ない手持ちのLPレコードにこのアルバムが含まれているのですから、自分の事とはいえ、分からないものですね。ただ、ひいき目に見ても一般受けはしなさそうなアルバムではあります。
アルバムの帯には「ゲイリー・ブルッカーをはじめ、6人のヴォーカリストと100名に及ぶロンドンのフィルハーモニア・オーケストラを起用」と記されているのですが、"Silence and I"(静寂と私)のような曲を期待すると肩透かしを食らいます。
アルバムの方向性からくるものなのかどうかは分かりませんが、これまでメインでヴォーカルをとっていたエリック・ウルフソンが単独でリードヴォーカルをとる曲は1曲も無く、バッキングヴォーカルで"Stereotomy"の1曲にクレジットされているだけで、今回は、その"Stereotomy"を含む3曲でリードヴォーカルをとっているジョン・マイルズがメインとなっています。
その他では"A Whiter Shade Of Pale"(青い影)でお馴染みの、元プロコル・ハルムのゲイリー・ブルッカーが"Limelight"でヴォーカルをとっています。
アルバムタイトルにもなっている"Stereotomy"がファーストアルバムのコンセプトだったエドガー・アラン・ポーの小説「モルグ街の殺人」からの引用ということで、原点回帰を示したアルバムだとも取れると思うのですが、それでも、前作はいったい何だったのかと思うほどの変貌振り。しかも前作とはヴォーカリストも大きく変わっているので、私のみならず、戸惑われたたファンも多かったのではないかと。
しかしながら、逆に前作でのポップ感覚に違和感を感じた人にとっては、かつてのプログレ的サウンドに回帰したともとれるこちらのアルバムの方が魅力的なのかもしれません。特に7分を超える大作のタイトルトラック、それにインストゥルメンタル曲"Urbania"、"Where's The Walrus?"の2曲は素晴らしい出来ですからね。
どちらかと言えば過渡期の地味なアルバムといった印象もありますが、実は本国であるイギリスのチャートで最上位を記録したアルバムは、"Eye in the Sky"(27位)でも、"Ammonia Avenue"(24位)でもなく、この"Stereotomy"(19位)なんですよね。とかくイギリス人気質といったものが語られたりもしますが、こういった部分では文化的奥深さと成熟した音楽文化を感じるところではあります。
で、このアルバムを取り上げるにあたって、今回初めて"YouTube"で"Stereotomy"のミュージックビデオを見てみたのですが、現代アートというか、動くストーム・ソーガソン作品といった雰囲気で、妙に惹かれてしまいました。どんな内容かというと、緑色のシャツを着た男が最初から最後まで延々と前転や側転、バク転等を繰り返すという映像です(笑)。 ちなみに、ストーム・ソーガソンとは、長年アラン・パーソンズ・プロジェクト及びアラン・パーソンズのソロ作品のジャケットデザインに携わっていたデザイナーです(残念ながら昨年の2013年に亡くなられました)。
▼ The Alan Parsons Project - Stereotomy
https://www.youtube.com/watch?v=hWIZ3rWv18o
TRACK LIST
[Side One]
1. Stereotomy (ステレオトミー) / 2. Beaujolais (眠りを覚ますボジョレー) / 3. Urbania [Instrumental] (アーバニア [インストゥルメンタル]) / 4. Limelight (ライムライト)
[Side Two]
1. In The Real World (現実革命) / 2. Where's The Walrus? [Instrumental] (海獣 [インストゥルメンタル] ) / 3. Light Of The World (ライト・オブ・ザ・ワールド) / 4. Chinese Whispers [Instrumental] (チャイニーズ・ウィスパーズ [インストゥルメンタル] ) / 5. Stereotomy Two (ステレオトミー II)
NOTES
Tracks 1, 5, 9: Lead Vocal - John Miles / Track 2: Lead Vocal - Chris Rainbow / Track 4: Lead Vocal - Gary Brooker / Track 7: Lead Vocal - Graham Dye / Tracks 3, 6, 8: Instrumental
(Track 1: Backing Vocal - Eric Woolfson / Track 7: Backing Vocal - Steven Dye)
• Album: UK 19位 / US 43位
• Single: "Stereotomy" US 82位
そして、こちらは同タイトルのCDで、4曲のボーナス・トラックが加えられた2009年の再発盤です。
上のLPと比べても分かるように、こちらのCDはジャケットの色がかなり濃い深緑になっているのですが、もしかして、海外盤は元々こういう色だったのでしょうかね? 一応、画像検索で確認してみたのですが、これ以外にも様々な色のジャケットがあるようで良く分かりませんでした(笑)。
それでもやっぱり、できることなら当時の日本盤の色調を再現して欲しかったとは思うところ。LPを持っていたからということもあるのですが、どうもこのCDの色調には馴染めないんですよね。
TRACK LIST
1. Stereotomy / 2. Beaujolais / 3. Urbania (Instrumental) / 4. Limelight / 5. In The Real World / 6. Where's The Walrus? (Instrumental) / 7. Light Of The World / 8. Chinese Whispers (Instrumental) / 9. Stereotomy Two
[Bonus Tracks]
10. Light Of The World (Backing Track) / 11. Rumour Goin' Round (Demo) / 12. Stereotomy (Eric Woolfson Guide Vocal) / 13. Stereotomy (Backing Rough Mix)
1. ステレオトミー / 2. 眠りを覚ますボジョレー / 3. アーバニア(インストゥルメンタル) / 4. ライムライト / 5. 現実革命 / 6. 海獣(インストゥルメンタル) / 7. ライト・オブ・ザ・ワールド / 8. チャイニーズ・ウィスパーズ(インストゥルメンタル) / 9. ステレオトミー II
[ボーナス・トラック]
10. ライト・オブ・ザ・ワールド (Backing Track) / 11. ルーモア・ゴーイン・ラウンド (Previously Unreleased Demo) / 12. ステレオトミー (Eric Woolfson Guide Vocal) / 13. ステレオトミー II (Backing Rough Mix)
NOTES
• CD発売日:2009年1月21日(再発盤)
• 解説・歌詞・対訳付
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