NIGHT AFTER NIGHT / UK (1979)
実は、個人的に最も好きなライヴアルバムのひとつが、この"UK"のライヴアルバム「Night After Night / ナイト・アフター・ナイト(ライヴ・イン・ジャパン)」なんですよね。
このアルバムを知るきっかけとなったのは、リリースされた当時にこの"Night After Night"が新譜として紹介されたNHK-FMの番組だったことは今でも覚えていて、特にその中の"Nothing to Lose"に強く惹かれたことがアルバム(LPレコード)購入に至った最大の理由でした。ただ、それまでの自分はといえば、"UK"というバンドは疎か、ジョン・ウェットンすら知らず、それ以前のジョン・ウェットンのプログレ歴のこともこのアルバムを買って始めて知ったという程度の認識しかありませんでした。
曲順は実際のライヴとはかなり違うようですが、それまでの"UK"を知らない自分には1曲目が"Night After Night"なのは取っ付き易くて良かったように思います。実際、"Nothing to Lose"に惹かれたことは勿論のことながら、この"Night After Night"を最初に聴いて好印象だったことが、その後に続く曲も興味を持って聴くことができた要因でもあったように思いますからね。そういえば、ギターが無くてもロックが成立し、トリオ編成でも素晴らしいサウンドが構築できることを知ったのもこのアルバムでしたね。
もしも、この後にニューアルバムがリリースされていたなら多分それも買っていたと思うのですが、残念ながらバンドはこのアルバムを最後に解散してしまったんですよね。ライヴアルバムとはいえ、新曲が2曲収録されていたこともあり、バンドの解散は予想だにしなかった出来事でしたが、当時はバンドが解散していたこともその後の"Asia"結成のニュースで初めて知ったような記憶があります。
ということで、私がその後、"Asia"に飛びついたのは、この"UK"で知ったジョン・ウェットンがメンバーに名を連ねていたからだったのでした。
その後、時代がレコード盤からCDに代わった後も、このアルバムをCDで買って聴きたいとずっと思っていたのですが、タイミングが悪くて、買いたいと探していた時は廃盤になっていたりして中々買えずにいたのですが、ようやく買えたのが昨年の2014年に発売されたこちらのCDでした。
LPレコードで聴いてた時代は、A面の4曲ばかり聴いていたので、このCDを買ったときはLPレコードで言うB面の曲がけっこう興味深かったのですが、それでも、数十年ぶりに聴いても、A面の4曲にはやっぱりゾクゾク、ワクワクしましたね。
それにしても、今聴いても古臭い印象が全く無い素晴らしいライヴアルバムだこと。今はこのようなライヴアルバムを最後に残してしてくれたことに感謝。個人的には、ここに収録されている楽曲はどれもがスタジオヴァージョンを凌ぐサウンドだと思いますし、アルバム自体も"UK"の代表作であり、スタジオアルバムを凌駕する名盤だと思っています。
▲ 飛行機の中で書かれたと記載されていますが、ライナーノーツには、来日する直前に滞在していたカリフォルニアのホテルで作られていたことが記されています。ただし、来日直前に書かれた曲であることは確かなようなので、飛行機の中で多少手直しがされて完成に至ったということは有り得る話ではないかと思います。
ちなみに、アルバムは1979年5月30日の中野サンプラザでのライヴと、同年6月4日の日本青年館でのライヴから抜粋して編集されたもので、この再発盤に「+1」として収録されているボーナストラックの"When Will You Realize"は、シングル"Night After Night"のB面にのみ収録されていた曲です。
ただ、復刻版ということで、帯はLPレコードの時と同じデザインで懐かしくていいのですが、日本盤LPの帯が復刻されているのに、ジャケットの方はイギリス盤の復刻とやや中途半端な印象。日本盤LPは見開きのダブルジャケットで、表の部分はエンボス加工がしてあった記憶があるので、恐らくはこの点がコストの面で影響して、ジャケットの方はシングルジャケットのイギリス盤の復刻というかたちになったのではないかと推測しているのですが、個人的には若干高くなってもダブルジャケットにしてほしかったところ。しかも、復刻帯にもLPレコードの帯と同様に「ポスター付」との記載があるものの、帯を復刻しただけのようで、CDには何も付いていません(笑)。ミニチュアの写真でも付いていれば良かったのに。
ついでに補足しておくと、日本盤とイギリス盤のジャケットに関しては、他にも日本盤の方がイギリス盤に比べて青みが強い色合いのジャケットになっていたという点と、ジャケットの「U」の部分にあるエディ・ジョブソンの写真が異なる(日本盤はヴァイオリンを弾いている写真)という違いもあります。
なお、上部に掲載しているジャケットの写真は、帯がキチキチで、無理に外そうとすると破れそうだったので、そのまま帯を付けた状態のジャケット写真になっていますが、実際は帯は外せるようになっています。又、帯はこの復刻されたものに加えて別途CD用の帯も付いているので、開封する前は帯が二段重ねという一風変わった状態になっているのですが、どうやら、実際は付いていない「ポスター付」の文字を隠す効能もあるようです(笑)。
あと、CDに関しては、4曲目から5曲目に移る部分(LPレコードではA面からB面に切り替わる部分)のトラック割りがちょっと変で、LPレコードだとA面最後の4曲目がフェードアウトして終わり、B面1曲目である5曲目は歓声がフェードインして始まるところが、このCDでは、4曲目がフェードアウトした後の若干の無音部分を挟んで5曲目がフェードインし始めるところまでが4曲目になっているんですよね。なので、5曲目も歓声がフェードインして始まるのではなく、切れた状態で始まることになります。まぁ、通して聴けば問題無いのですが、この曲だけを聴こうとするときは多少変な感じになります。
それと、このアルバムもそうですが、ライヴアルバムでは曲の始まり部分でトラック割りしてある場合が意外と多く、曲紹介のMCが前の曲の終り部分に含まれることになるのは多少違和感がありますね。これもアルバムを通して聴けば問題無いのですが、特定の曲だけを聴こうとする場合などは盛り上がりに欠けるような感じが無きにしも非ず。
でも、ボーナストラックの"Will You Realize"にも、聞き取りというかたちで歌詞と対訳が付けられているのは良いところ。
収録曲について言えば、前半の1曲目~4曲目(LPレコードではA面)がどちらかというとポップでメロディックなサウンドなのに対し、後半の5曲目~9曲目(LPレコードではB面)は、変拍子を交えたテクニカルなプログレ色が前面に出たサウンドになっており、前半と後半(LPレコードではA面とB面)で曲調が色分けされているのが面白いところ。
それに、新曲が収録されていると先にも書いたように、アルバムタイトルにもなっている1曲目の"Night After Night"と、4曲目の"As Long as You Want Me Here"はこのアルバムでしか聴けない曲だというのも、このアルバムならではの特徴。しかも、どちらも魅力的な曲であるところがこのアルバムを更に特別なものにしている要素にもなっているように思います。"Night After Night"はキーボードソロがカッコ良いミディアムテンポのモダンな雰囲気を持った曲。そして、"As Long as You Want Me Here"は後の"Asia"に通じるサビのパートが印象的な曲で、どちらも大好きな曲です。
エレクトリックピアノが美しい旋律を奏でる2曲目の"Rendezvous 6:02"もこれまた大好きな曲で、ソロパートに於ける分厚いシンセサウンドも魅力的。
そして、このアルバムを買うきっかけとなった曲であり、アルバムではハイライトのひとつでもある"Nothing to Lose"は勿論今でも最も好きな曲のひとつで、スタジオヴァージョンよりも長くなっているバイオリンソロが聴き所なのは勿論のこと、ライヴではエディ・ジョブソンがキーボードを離れてバイオリンに持ち替える動作が入るため、バイオリンソロの前にベースとドラムによるタメがあって、そこがまたカッコイイんですよね。それに、キーボードからヴァイオリンへ、そして、再びキーボードへと動き回るライヴでのエディの様子が想像できて楽しいです。
5曲目以降は、こちらも先に述べたように、変拍子を交えたテクニカルなプログレ風楽曲が続くのですが、アルバム前半のような親しみ易い曲がありながらも、こういった面をベースに持ち合わせているが、実は"UK"最大の魅力なのではないかと思います。当時は前半の曲に比べて聴く機会は少なかったのですが、スリリングで壮絶な演奏が畳み掛けるように展開される様は圧巻。
なお、アルバムに収録されている新曲以外の曲は、5曲目~8曲目までの4曲が「U.K. / 憂国の四士」 (1978) から。そして、2、3、9曲目が「Danger Money / デンジャー・マネー」 (1979) からとなっています。
最後の"UK"コールが、フェードアウトじゃなく、エコーと共に突然終わってしまうのも、今にして思えば、何だかバンドの運命を象徴しているようで感慨深いものがありますね。 解散してしまって、本当に残念ではあるのですが、この解散がなければ"Asia"の誕生も無かっただろうし・・・複雑な心境。
UK - BAND MEMBERS (Listed on Back Cover)
• Eddie Jobson (エディ・ジョブソン) - Keyboards and Electric Violin
• John Wetton (ジョン・ウェットン) - Lead Voice and Bass Guitar
• Terry Bozzio (テリー・ボジオ) - Drums and Percussion
TRACK LIST (2014 Japanese Reissue Edition)
1. Night After Night / 2. Rendezvous 6:02 / 3. Nothing To Lose / 4. As Long As You Want Me Here / 5. Alaska / 6. Time To Kill / 7. Presto Vivace / 8. In The Dead Of Night / 9. Caesar's Palace Blues / 10. When Will You Realize (Bonus Track)
1. ナイト・アフター・ナイト(新曲) / 2. ランデブー 6:02 / 3. ナッシング・トゥ・ルーズ / 4. アズ・ロング・アズ・ユー・ウォント・ミー・ヒア(新曲) / 5. アラスカ / 6. タイム・トゥ・キル / 7. プレスト・ヴィヴァーチェ / 8. イン・ザ・デッド・オブ・ナイト / 9. シーザーズ・パレス・ブルース / 10. ホエン・ウィル・ユー・リアライズ (ボーナス・トラック)
※ LP時代の邦題
6. 「タイム・トゥ・キル」 → 「時空の中に」 / 8. 「イン・ザ・デッド・オブ・ナイト」 → 「闇の住人」
復刻ミニチュア巻き帯に書かれた曲目にはLP時代の邦題がそのまま記されています。
別にカタカナ表記に変更しなくてもよかったのに・・・。
NOTES
• Recorded at Nakano Sun Plaza (30 May 1979) and Nippon Seinen Kan (4 June 1979), Tokyo, Japan.
• Single: "Night After Night" (B-Side: "When Will You Realize")
■ ナイト・アフター・ナイト(ライヴ・イン・ジャパン)+1
• 初回限定盤(紙ジャケット+日本初回盤LP復刻ミニチュア巻き帯+ボーナストラック)
• CD発売日:2014年9月24日(再発盤)
• 解説・歌詞・対訳付(ボーナストラックを含む)
■ 残念ながらこのライヴアルバムの動画は無いようなので。
UK - Nothing To Lose (Music Video)
https://www.youtube.com/watch?v=SwVVx5DwfrQ
▼ ライヴ・ヴァージョンはこんな感じ(カヴァー)
Nothing To Lose (U.K.Cover)
https://www.youtube.com/watch?v=5ihcNtTP9bY
UK - Rendezvous 6:02 (Music Video)
https://www.youtube.com/watch?v=oZ5RgSPU3B4
UK - Night After Night / Caesar's Palace Blues (1979 TV Performance)
https://www.youtube.com/watch?v=uZJ-eZ0JfKk
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