VERY COOL 「ヴェリー・クール」 / NAOKO TERAI 「寺井尚子」 (2014)
Very cool (ヴェリー・クール) / 寺井尚子
こちらは、ジャズ・ヴァイオリニストの寺井尚子さんの17作目(ベスト・アルバムを除く)となるアルバム「Very cool / ヴェリー・クール」。
アルバムはタイトルにもある「クール」をテーマにして制作されたそうで、そこには「情熱的」といった表現で語られることの多かったこれまでのイメージを打破し、更に一歩踏み出すという意味があったとブックレットに掲載された寺井尚子さん自身の解説に記されています。
自分が寺井さんの音楽に惹かれる理由のひとつにアンサンブルの妙といったものがあります。ヴァイオリン+バック・バンドのような感じじゃないところが良いんですよね。このアルバムだと曲によってはピアノやヴィブラフォンのソロがあったりもしますし。
まぁ、裏を返せば、寺井さんのヴァイオリンが一歩引く場面があることで、曲にメリハリができて、寺井さんのヴァイオリンもより引き立つという効果もあると思うのですが、ソリストのアルバムって、他の楽器はオケ扱い的なものが案外多いので、こういったそれぞれの楽器に存在感が感じられる一体感のあるサウンドっていいなと思うところ。
このアルバム"Very cool"はブルーノート関連の曲も然ることながら、ラテン系のナンバーが比較的多く収録されているのが特徴で、当初は、レギュラー・カルテットに加え、ヴィブラフォン奏者とパーカッション奏者がゲストで参加しているのもラテン系のサウンドに合わせてのことだと思っていたら、実際は逆で、ラテン系のナンバーが多くなったのはメンバーの個性や長所をどうすれば活かせるかを考えての結果だそうです。
それにしても、ヴィブラフォン奏者とパーカッション奏者がゲストで参加しているということもあり、何処となくフルーツを盛ったカクテルが似合いそうな、夏にピッタリのお洒落な南国風サウンドといった雰囲気がありますね。実際、私自身は今年も夏になってから良く聴いているアルバムで、夏に聴くと何となく心地良さが増すような感じがあるんですよね。それに車の中で聴いても雰囲気があって中々良いです。
ブックレットにはそれぞれの曲について寺井さん自身の解説と、スタンダード・ナンバーについては曲の生い立ちが併せて掲載されています。スタンダード・ナンバーに詳しくない自分にとってはこういうのはありがたいところ。スタンダード・ナンバーの多くが自分が生まれる前に誕生した曲ですし、曲の歴史を知ることでそれぞれの曲をより深く楽しめますからね。
ちなみに、このアルバムでは、5曲目の「Dancing In The Wind / ダンシング・イン・ザ・ウインド」が寺井さん作曲した曲、そして9曲目の「Cool Vibrations / クール・ヴァイブレーションズ」がレギュラー・カルテットのひとりである北島直樹が作曲した曲がオリジナル曲になります。アルバムには毎回、寺井さんやレギュラー・カルテットによるオリジナル曲が数曲収録されているわけですが、このアルバムに限らず、スタンダード・ナンバーと並んでいても違和感が無いところは流石といった感じ。
車に誰かを乗せて、このアルバムをかけたら、好感度がアップしそうな・・・、そんなとってもクールなアルバムです。
▼ 寺井尚子 - カンタロープ・アイランド
https://www.youtube.com/watch?v=2Bl7YFHL6nA
▼ 寺井尚子 - キサス・キサス・キサス
https://www.youtube.com/watch?v=XLx_-uEK4FU
TRACK LIST
1. Manha De Carnaval / 2. Quizas. Quizas. Quizas / 3. Cantaloupe Island / 4. Estrellita / 5. Dancing In The Wind / 6. Little B's Poem / 7. Tempus Fugit / 8. Everything Happens To Me / 9. Cool Vibrations / 10. Begin The Beguine / 11. Estrellita [CM Version] (Bonus Track)
1. 黒いオルフェ / 2. キサス・キサス・キサス / 3. カンタロープ・アイランド / 4. エストレリータ / 5. ダンシング・イン・ザ・ウインド / 6. リトル・Bズ・ポエム / 7. テンパス・フュージット / 8. エヴリシング・ハプンズ・トゥ・ミー / 9. クール・ヴァイブレーションズ / 10. ビギン・ザ・ビギン / 11. エストレリータ(ボーナス・トラック)
NOTES
寺井尚子 (vln)
北島直樹 (p) - 11 抜ける
店網邦雄 (b)
中沢剛 (ds) - 11 抜ける
山本玲子 (vib) - 1, 2, 3, 6, 7, 9
松岡“matzz”高廣 (perc) - 2, 3, 5, 7, 10
ジャンゴ・リズム (g) - 11
• 日本盤初回プレスCD [Japanese First Pressing CD]
• 寺井尚子さん自身の全曲解説付き
関連記事
▶ HOT JAZZ...and Libertango 2015 「ホット・ジャズ」 (2015) / Naoko Terai 「寺井尚子」
« HOT JAZZ ...AND LIBERTANGO 2015 「ホット・ジャズ」 / NAOKO TERAI 「寺井尚子」 (2015) | トップページ | 2016年1月~8月のプレイカウント・トップ 40 »
「音楽 (全てのカテゴリー)」カテゴリの記事
「音楽 (K) (L) (M) (N) (O)」カテゴリの記事
- HIROKO NAKAMURA PLAYS CHOPIN FAVORITES 「“幻想即興曲” 中村紘子ショパン名曲集」 / HIROKO NAKAMURA (1984)(2020.08.05)
- THE SINGLES 「ザ・シングルス」 [3CD] (初回生産限定仕様) / CHISATO MORITAKA 「森高千里」 (2012)(2020.02.07)
- ESSENTIAL / KIM CARNES (2011)(2019.10.25)
- IMMIGRANT SONG 「移民の歌」 / LED ZEPPELIN (1970)(2018.07.09)
- KAMA-SUTRA 「カーマ・スートラ」 / MICHEL POLNAREFF (1990)(2018.05.04)
「音楽 (P) (Q) (R) (S) (T)」カテゴリの記事
- DUE IMPRESSIONE - AVE MARIA REMIX (1995) & AIR (1996) / SLAVA(2020.12.18)
- CMT CROSSROADS [DVD] / TAYLOR SWIFT & DEF LEPPARD (2009)(2020.07.12)
- RULE THE WORLD: THE GREATEST HITS / TEARS FOR FEARS (2017)(2020.05.10)
- IF WE FALL IN LOVE TONIGHT 「ベスト・バラード・コレクション」 / ROD STEWART (1996)(2020.05.03)
- SONGS FROM THE BIG CHAIR 「シャウト [+7]」 / TEARS FOR FEARS (1985)(2018.08.17)
「音楽 (邦楽 / Japanese Musicians)」カテゴリの記事
- FANTASY 「ファンタジー +10」 / HIROMI IWASAKI 「岩崎宏美」 (1976 / 2018)(2020.11.21)
- HIROKO NAKAMURA PLAYS CHOPIN FAVORITES 「“幻想即興曲” 中村紘子ショパン名曲集」 / HIROKO NAKAMURA (1984)(2020.08.05)
- THE SINGLES 「ザ・シングルス」 [3CD] (初回生産限定仕様) / CHISATO MORITAKA 「森高千里」 (2012)(2020.02.07)
- 飛鳥(品川盤) [CD+DVD] / RIN' (2004)(2019.10.11)
- SEALED 「シールド」 / Y.M.O. (1984)(2019.06.23)
「音楽 (ジャズ・フュージョン / Jazz & Fusion)」カテゴリの記事
- THE NEW STANDARD 「ザ・ニュー・スタンダード」 / HERBIE HANCOCK (1996)(2018.03.09)
- SESSION III - PROMOTIONAL RELEASE FROM YAMAHA (1981)(2018.02.10)
- VERY COOL 「ヴェリー・クール」 / NAOKO TERAI 「寺井尚子」 (2014)(2016.08.25)
- HOT JAZZ ...AND LIBERTANGO 2015 「ホット・ジャズ」 / NAOKO TERAI 「寺井尚子」 (2015)(2016.08.17)
- SPIRIT 「スピリット」 [初回限定盤 / CD+DVD] / KAORI KOBAYASHI 「小林香織」 (2014)(2015.04.17)
« HOT JAZZ ...AND LIBERTANGO 2015 「ホット・ジャズ」 / NAOKO TERAI 「寺井尚子」 (2015) | トップページ | 2016年1月~8月のプレイカウント・トップ 40 »
コメント